コピー機のリース契約が終了に近づくと、多くの企業が直面するのが「再リースするか、それとも新しい機種に入れ替えるか」という判断です。

再リースは、現在使用しているコピー機を引き続き利用でき、月々の支払いも抑えられるのが大きな魅力です。一方で、使用年数が長くなる分、故障や部品交換のリスクが高まり、生産性や業務効率に影響を及ぼす可能性もあります。

この記事では、再リースの仕組みや費用感、契約期間の目安に加え、注意すべき故障リスクや保守条件を整理します。「再リースが向くケース」と「入替が向くケース」についても比較し、判断の土台となる情報を提供します。

短期的にコストを抑えたい方も、長期的な安定性を重視したい方も、自社にとって最適な選択を見極めるための参考にしてください。

コピー機の再リースとは?仕組みと基本知識

再リースの定義と通常リースとの違い

コピー機の再リースとは、既存のリース契約が満了した後も、同じ機種を引き続き利用する契約形態を指します。新品を対象とした通常リースと異なり、すでに利用している機種を再契約する点が特徴です。新たに搬入や設置を行う必要がなく、今の環境を変えずに利用を継続できるのがメリットといえます。

再リースの契約期間と料金の一般的な仕組み

再リースは、通常1年単位で契約を更新する形が多く見られます。期間を柔軟に設定できるため、「あと1年だけ使いたい」「次のモデルが出るまで待ちたい」といったケースにも対応しやすい仕組みです。

料金体系については、元のリース料の一部を基準に設定されるのが一般的です。具体的には、元のリース料の約2カ月分を一括で支払うことで1年間使用可能という方式が多く採用されています。

例えば月額20,000円でリースしていたコピー機なら、再リース料は約40,000円を一括で支払う形となります。月額換算にすると大幅に安くなるのが大きな魅力です。

自動更新と再リース案内の流れ

リース契約は、満了時に自動的に再リースへ移行するケースと、販売店やリース会社から案内が届き契約を選択するケースがあります。特に自動更新の仕組みでは、利用者が明確に意思表示をしない限り再リースに切り替わってしまう場合もあるため、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。

再リースはコストを抑えて短期的に利用を続けられる便利な方法ですが、契約の仕組みを理解しておかないと「気づいたら古い機種を使い続けていた」という状況になりかねません。まずは再リースの基本を把握し、自社にとって本当に最適な選択かを検討する必要があります。

コピー機を再リースするメリット

再リースは、コストを抑えつつ使い慣れたコピー機を継続できる点が魅力です。ここでは代表的なメリットを整理します。

コストを削減できる

再リースの最大のメリットは、大幅なコスト削減です。一般的に再リース料は「元のリース料の約2カ月分を一括で支払い、その後1年間利用できる」という仕組みになっています。例えば、初回のリースで月額15,000円(年間180,000円)を支払っていた場合、再リースでは30,000円前後を一括で支払えば1年間利用可能です。つまり、従来の年間費用に比べて80%以上のコスト削減を実現できるのです。

この仕組みを活用すれば、1台だけでなく複数台の複合機を保有する企業にとっても大きなメリットとなります。2台同時に再リースすれば、年間で数十万円規模のコスト削減が可能となります。短期的な資金繰りを改善したい企業にとって、再リースは非常に有効な選択肢です。

入れ替えに伴う手間がかからない

再リースなら、すでに使い慣れた機種をそのまま使えるため、新しい機種導入時に必要なネットワーク設定やプリンタードライバーの再インストール、社員への操作研修といった手間が不要です。初期トラブルや設定変更にかかる時間的コストも発生せず、業務を止めずに継続利用できます。

大人数で利用するオフィスでは、新機種導入のたびに「操作方法が分からない」「印刷ができない」といった問い合わせが増え、生産性が低下することがあります。再リースであればこうした混乱を避けられるため、オフィス全体の安定した業務運営に寄与します。

契約期間が短く柔軟に選べる

初回リースが3~6年の長期契約であるのに対し、再リースは1年更新が基本です。これにより「新機種導入までのつなぎ」として利用する、あるいは「当面は費用を抑えたいが、次年度には刷新したい」といった柔軟な選択が可能になります。企業にとっては、設備更新のタイミングを自由にコントロールできる点が大きな利点です。

来年度に大規模なオフィス移転を予定している場合、再リースを選択することで「移転までは現状のコピー機を利用し、移転後にまとめて新機種を導入する」といった柔軟な計画を立てられます。長期的な契約に縛られず、事業計画に合わせて設備投資を調整できるのは大きな強みです。

環境に配慮できる

再リースを選択することは、環境面でもメリットがあります。新たな機種を製造・導入せずに既存の機器を継続利用するため、資源の節約や廃棄物の削減につながります。環境配慮を重視する姿勢は、CSR(企業の社会的責任)やSDGsへの取り組みとして社外にも好印象を与える要素となります。

近年は、環境対策を経営戦略の一部として重視する企業が増えているため、再リースは単なるコスト削減だけでなく、企業ブランドの向上にもつながる選択肢といえるでしょう。

このように、再リースはコスト面・業務効率・契約の柔軟性・環境配慮といった多方面のメリットを兼ね備えています。特に「コストを抑えたい」「設備更新の時期を調整したい」「操作環境を変えたくない」というニーズを持つ企業にとって、再リースは非常に有効な手段となるでしょう。

コピー機を再リースするデメリット・注意点

再リースには多くのメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。ここでは代表的なデメリットを整理します。

故障や劣化のリスクが高まる

再リースされるコピー機は、すでに初回リースで3~6年ほど利用されているケースが多く、部品の摩耗や劣化によるトラブルが増える傾向があります。一般的に複合機の寿命は「5年」または「印刷枚数300万枚程度」とされており、使用環境や頻度によっては紙詰まりや印刷品質の低下が頻発するリスクも高まります。

さらに、定着器・ドラム・給紙ローラーなどの消耗部品の寿命が近づくと、印字ムラやトナー汚れ、二重給紙といった不具合が出やすく、結果的にメンテナンス回数が増える可能性があります。ダウンタイムによる現場の待ち時間や差し替え対応、再印刷コストまで含めると、想定以上の機会損失になる点は見落とされがちです。

最新機能を使えない

再リースは基本的に旧型機の利用継続となるため、新しい複合機に搭載される高速印刷、省エネ性能、セキュリティ強化などの最新機能を活用できません。業務効率化やセキュリティ強化を求める企業にとっては大きな制約となる可能性があります。

保守・ランニングコストは上がる可能性がある

リース料は安くなる一方で、契約期間満了に伴いカウンター料金は10%ほど上がる場合があるということに注意が必要です。メーカーによってさまざまですが、たとえばリース満了から翌年は6%増、さらに翌年は12%増といったケースもあります。

近年はカウンター料金の相場自体が下がってきているため、結果的に「再リースより新規リースのほうがランニングコストを抑えられる」という逆転現象も起こり得ます。

修理できなくなるリスクがある

業務用コピー機には「部品保有期間」があり、これは製品の販売終了から5年間、あるいは製造終了から7年間と定められています。再リース時にこの期間を過ぎている場合、故障しても部品が入手できず、修理対応を受けられない可能性があります。その場合、再リースを続けることは困難で、新規リースや購入に切り替えざるを得なくなります。

以上のように、再リースは「短期的にコストを抑えたい」「新機種導入までのつなぎ」としては有効ですが、長期的な運用には劣化・保守・修理対応のリスクが伴います。利用状況や事業計画に照らして慎重に判断することが重要です。

コピー機の再リースが向いているケース

再リースはすべての企業に適しているわけではありませんが、条件によっては非常に有効な選択肢となります。ここでは、再リースが向いている代表的なケースを紹介します。

短期的にコストを抑えたい場合

新機種への切り替えをすぐには考えていない、あるいは当面の予算をできるだけ抑えたい企業にとって、再リースは最適です。年間コストを大幅に削減しつつ、当座の業務に必要なコピー機を確保できます。

利用頻度が低い企業

印刷枚数が少なく、コピー機の使用頻度が高くない企業であれば、経年劣化のリスクは比較的低くなります。小規模オフィスや印刷を外注することが多い業態では、再リースでも十分に対応可能です。

新機種導入までの「つなぎ」として活用したい場合

事業計画上、来年度や数年以内に最新機種への更新を予定している場合、その間を再リースで乗り切るのは合理的な判断です。契約が1年単位で柔軟に更新できるため、更新時期をコントロールしやすくなります。

環境やCSRを重視している企業

既存の機器を長く使うことは、資源の有効活用や廃棄物削減につながります。環境配慮をアピールしたい企業や、SDGsに積極的に取り組む企業にとって、再リースはCSR活動の一環としても意味を持ちます。

このように「コスト削減」「利用頻度が少ない」「導入までのつなぎ」「環境配慮」といった条件に当てはまる場合、再リースは非常に有効な選択肢となります。導入目的と利用環境を踏まえ、自社の状況と照らし合わせて検討するとよいでしょう。

再リースよりも入れ替えが向いているケース

一方で、再リースはすべての企業に適しているわけではありません。利用環境や事業計画によっては、新規リースや購入のほうが望ましいケースもあります。ここでは、再リースを避けたほうがよい代表的な状況を紹介します。

印刷枚数が多い企業

日常的に大量印刷を行う企業では、経年劣化による部品の摩耗や故障リスクが高まります。紙詰まりや印刷品質の低下が頻発すると、かえって業務効率を下げてしまうため、最新機種への切り替えが望ましいでしょう。

最新機能やセキュリティ対策が必要な場合

DX推進やセキュリティ強化が求められる企業にとって、旧型機を使い続けるのは大きな制約となります。高機能スキャナ、クラウド連携、データ暗号化機能など、最新機能を利用したい場合は新規導入が不可欠です。

ランニングコストを見直したい場合

再リースではリース料は下がるものの、カウンター料金や保守費用は従来と同じ水準で継続されることが一般的です。相場の下落に合わせてより安い料金で新しい複合機を使えるケースもあるため、再リースよりも新規契約のほうが結果的に安くなる可能性があります。

長期的に利用を続けたい場合

再リースは1年更新で柔軟な反面、部品保有期間を過ぎると修理対応ができなくなるリスクがあります。長期的に安心して運用したい場合は、新しい複合機のリースや購入を検討するほうが安全です。

このように「印刷枚数が多い」「最新機能が必要」「ランニングコストを抑えたい」「長期的に安定運用したい」といった条件に当てはまる場合、再リースよりも新規導入・入れ替えを選ぶほうが合理的です。短期的な節約よりも、業務効率やリスク回避を優先することが、結果として大きなコスト削減につながります。

再リースか入れ替えか判断するポイント

再リースと入れ替えにはそれぞれのメリット・デメリットがあり、自社にとって最適な選択肢は状況によって異なります。判断を誤らないためには、以下の3つの基準を意識して比較検討することが重要です。

総コストの比較(リース料+カウンター料金)

再リースはリース料が大幅に安くなる一方で、カウンター料金や保守費用は従来の契約内容を引き継ぐ場合が多く、ランニングコストが高止まりする可能性があります。

一方、新規リースでは月額リース料は上がりますが、最新の料金相場でカウンター契約を結べるため、トータルでは安くなるケースもあります。リース料だけでなく「リース料+カウンター料金」の合計額で比較することが判断の第一歩です。

業務効率・生産性への影響

コピー機の性能は業務効率に直結します。再リースでは旧型機を継続利用するため、印刷速度やセキュリティ性能が最新機種に劣り、生産性に影響を与える可能性があります。日常的に大量印刷を行う企業や、クラウド連携など新機能を活用したい企業では、業務効率を優先して入れ替えを選ぶほうが合理的です。

保守条件とサポート体制の確認

複合機には「部品保有期間(販売終了から5年間または製造終了から7年間)」があり、それを過ぎると修理ができなくなる可能性があります。再リースを検討する際は、対象機種がまだ部品供給期間内かどうかを確認することが不可欠です。さらに、保守契約の内容やサポート対応が継続されるかどうかも判断材料になります。

再リースか入れ替えかを判断する際は、「総コスト」「業務効率」「保守体制」の3つを軸に検討することが大切です。短期的なコスト削減を優先するなら再リース、長期的な安定運用や効率化を重視するなら入れ替え、といったように、自社の事業計画と照らし合わせて最適な選択を見極めましょう。

まとめ

コピー機の再リースは、短期的にコストを抑えたい場合や利用頻度が低い場合に有効な選択肢です。使い慣れた機種をそのまま活用でき、契約も1年単位で柔軟に調整できるため、事業計画に合わせた運用が可能です。環境配慮の面でもプラスになります。

ただし、経年劣化による故障リスクや最新機能の不足、カウンター料金の高止まりといった課題もあります。長期的な安定性やセキュリティを重視する場合は、新規導入や入れ替えのほうが適しているケースも多いでしょう。

最終的な判断は、総コスト、業務効率、保守体制を基準に、自社の利用状況や計画と照らし合わせることが大切です。短期的な節約か長期的な効率化かを明確にすることで、再リースと入れ替えの両面から最適な判断を検討しましょう。