業務用コピー機を導入しようと考えても、「本体価格だけ見ればいいのか」「リースやレンタルのほうが得なのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。

実際には、導入方法によって初期費用や月々の支払いが異なるだけでなく、印刷枚数に応じたランニングコストや保守契約の内容も加わり、総額の負担が大きく変わります。表面的な価格だけでは判断できないため、全体のコスト構造を理解することが欠かせません。

本記事では、導入方式ごとの特徴と併せて、長期的に必要となる費用の考え方を整理し、自社に合った選び方のポイントを解説します。

業務用コピー機の価格相場:導入方法別

業務用コピー機を導入する方法には大きく分けて「新品購入」「中古購入」「レンタル」「リース」の4種類があります。選び方によって初期費用や月々の負担が大きく変わるため、まずは相場感を整理しておきましょう。

新品の業務用コピー機の値段相場

新品の業務用コピー機は、一般的に100万~200万円前後が中心価格帯とされています。ハイスペックなモデルでは300万円を超える場合もあります。

新品のメリットは、メーカー保証が手厚く、最新機能や性能を最大限に活用でき、耐用年数も長く、長期的に安定して利用できる点です。ただし、初期投資が大きいため、資金計画とのバランスを慎重に検討する必要があります。

中古の業務用コピー機の値段相場

中古品は10万~30万円程度が相場です。新品に比べて大幅に初期コストを抑えられるのが魅力で、ベンチャー企業や小規模オフィス、また短期間の利用を想定している場合に選ばれやすい導入方法です。

ただし、中古品はすでに数年使用されているため、部品の摩耗や劣化によるトラブルが起こりやすく、耐用年数も新品より短いのが一般的です。

レンタルの業務用コピー機の値段相場

短期利用を前提とする場合に選ばれるのがレンタルです。月額1~3万円前後が相場で、イベントやセミナー、展示会などで一時的にコピー機が必要なときに活用されます。

なお、搬入や撤去で運送会社が動くこともあるため、導入時と撤去時に5万円程度の費用がかかる場合があります。

長期的に使うとリースや購入より割高になることが多いため、利用目的が短期間に限られる場合に適しています。

リースの業務用コピー機の値段相場

もっとも一般的な導入方法はリースです。月額6,000~20,000円程度が相場で、契約期間は3~6年が一般的です。リース契約では保守契約をセットにできる場合が多く、月々の支払いを安定させやすい点がメリットです。

最新機能を備えた機種を初期投資ゼロで導入できるため、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。ただし、総額で見ると新品購入に近い金額になることもあるため、長期的な利用計画を立てて選ぶ必要があります。

このように、「初期費用を抑えたいのか」「長期的な安定性を重視するのか」「短期的に利用するのか」といった理由によって、業務用コピー機の導入方法が変わってきます。自社の利用状況や資金計画を踏まえて、導入形態を選ぶことが重要です。

業務用コピー機の値段を左右する主な5つの要素

業務用コピー機の価格は「本体価格」だけではなく、性能や機能の違いによって大きく変わります。ここでは、特に価格差に直結しやすい5つの要素を整理します。

印刷速度

印刷速度は、コピー機の値段にもっとも大きく影響します。1分あたりに印刷できる枚数が多いほど価格は高くなるため、自社の月間印刷枚数を目安にして、適切な速度のモデルを選ぶことが大切です。

参考目安は以下のとおりです。

  • 月間500枚未満:15~20枚/分
  • 月間500~5,000枚程度:20~30枚/分
  • 月間5,000~10,000枚程度:40~50枚/分
  • 月間2,000~20,000枚程度:50~70枚/分以上

カラー対応

「モノクロのみ対応」と「カラー対応」でも価格は大きく異なります。業務用ではカラー対応モデルが主流ですが、モノクロ専用機は初期費用を抑えやすいのが特徴です。

ただし、カラーモデルは導入コストだけでなくランニングコスト(カウンター料金やトナー代)も高くなる点に注意が必要です。

給紙容量

給紙容量も価格に影響します。標準トレイに加え、複数の給紙カセットや大容量給紙ユニットを搭載できるモデルでは、用紙補充の手間が減る反面、価格は上昇します。

特に大量印刷を行う企業や、A3・特殊サイズを頻繁に使う企業では、大容量トレイを備えたモデルのほうが効率的です。逆に、小規模オフィスやSOHO向けでは、標準容量でも十分なケースが多いでしょう。

スキャン性能

スキャン性能としては以下の点が価格差に影響します。

  • ADF(自動原稿送り装置)の有無や性能(両面同時読み取りなど)
  • スキャン速度(1分間で処理できるページ数)
  • 解像度やファイル形式(高精細PDF保存、OCR機能など)

紙文書の電子化やクラウド保存を日常的に行う企業では、高速・高解像度スキャン対応機を選ぶ価値があります。

オプション機能

業務用コピー機はオプション機能の有無によって価格が大きく変わります。代表的なものは以下です。

  • フィニッシャー(ステープル・パンチ・ソートなど)
  • ICカード認証(セキュリティ管理や利用制限)
  • 無線LAN/クラウド連携(スマホ・タブレットから直接印刷)
  • FAX機能(紙ベースのやり取りが多い企業向け)

こうしたオプションは、業務効率やセキュリティを高める一方で、導入費用を押し上げます。導入前に「必須な機能」と「不要な機能」を社内で整理しておくことが、コストを抑える重要なポイントです。

このように、印刷速度・カラー対応・給紙容量・スキャン性能・オプション機能といった5つの要素は、いずれも業務用コピー機の価格に直結します。自社の印刷量や用途を明確にした上で、必要十分な性能を選定することが無駄なコストを防ぐ鍵となります。

業務用コピー機にかかるランニングコストの相場

業務用コピー機は本体代やリース料だけでなく、日々の利用にかかる「ランニングコスト」も大きなポイントになります。ここでは代表的な費用項目を整理します。

保守契約(カウンター料金)

コピー機を使う上で欠かせないのが保守契約です。カウンター方式では、印刷した枚数に応じて料金が発生します。一般的な相場は以下のとおりです。

  • モノクロ印刷:1枚あたり2円
  • カラー印刷:1枚あたり15円

契約内容によって差はありますが、修理や点検、部品交換が含まれるため、多くの企業がこの方式を選んでいます。

トナー・消耗品代

トナーは消耗品の中でもっとも大きなコストです。印刷枚数が多いほど交換頻度も高くなります。また、ドラムやローラーなどの部品も消耗品として定期的に交換が必要です。中古機を使う場合は新品に比べて消耗が進んでいるため、費用がかさむケースもあります。

ただし保守がカウンター式の場合は、トナーや部品代はカウント料金の支払いに含まれるため、追加費用なく交換が可能です。

電気代

コピー機は常にスタンバイ状態を維持するため、一定の電力を消費します。特に大型機や高速機は消費電力が高めになる傾向があります。導入時は電気代も合わせて見積もることが大切です。

このように、業務用コピー機は「本体の価格」よりも「使い続けるためのコスト」が負担になりやすいのが特徴です。印刷枚数が多い企業ほどランニングコストの差が大きくなるため、導入前にしっかり確認しておくことが重要です。

使用枚数に応じた業務用コピー機の選び方

業務用コピー機を選ぶ上で、もっとも重要な基準となるのが月間の印刷枚数です。コピー機は内部の部品構造や耐久性が「どれだけの枚数を印刷するか」を前提に設計されているためです。以下では、一般的な月間印刷枚数の目安ごとに、どのクラスのコピー機が適しているかを整理しました。

月間500枚未満:SOHO・小規模オフィス向け(15~20枚/分)

小規模事業所や個人事業主など、月間の印刷がほとんどない環境では、低速機で十分です。印刷速度は1分あたり15~20枚程度と控えめですが、資料印刷や伝票処理といった用途には支障がありません。リース料金は4,000~8,000円程度が目安で、導入コストを抑えたい場合に適しています。

月間500~5,000枚程度:中小規模オフィス向け(20~30枚/分)

もっとも多く導入されているクラスがこの「20~30枚/分」のコピー機です。一般的なオフィス利用にバランスがよく、リース料金は7,000~15,000円程度。コピー、プリント、FAX、スキャンといった基本機能がひととおりそろい、幅広い業務に対応できます。

月間5,000~10,000枚程度:事業所・店舗向け中速機(40~50枚/分)

5,000枚を超える規模で印刷を行う事業所や、複数拠点での利用が想定される店舗では、中速機クラス(40~50枚/分)が適しています。リース料金は12,000~18,000円程度で、処理速度と耐久性が向上するため、業務の待ち時間を短縮できます。

月間2,000~20,000枚程度:大規模オフィス・印刷業向け高速機(50~70枚/分以上)

さらに大量の印刷が求められる大規模オフィスや印刷関連業務では、高速機(50~70枚/分以上)が必要になります。リース料金は15,000~25,000円程度と高めですが、短時間で大量の出力をこなせるため、業務効率を大幅に高められます。

業務用コピー機を選ぶ際には、「月間の印刷枚数」を基準にすることがもっとも合理的です。小規模利用なら低速機、大量印刷なら高速機、といった形で自社の利用状況に合ったモデルを選ぶことで、無駄なコストを抑えつつ業務効率を最大化できます。必要な印刷ボリュームを把握することで、自社に最適なコピー機を導入できるでしょう。

業務用コピー機の見積もり比較で注意すべきポイント

業務用コピー機を導入する際、複数の業者から見積もりを取ることは非常に重要です。同じモデルでも、契約内容や保守条件の違いによって、最終的に支払う総額は大きく変わります。ここでは、見積もり比較の際に必ず確認すべき3つのポイントを整理します。

カウンター料金

コピー機の運用コストに大きな影響を与えるのが「カウンター料金」です。これは印刷1枚ごとにかかる費用で、モノクロは2円、カラーは15円が相場とされています。新品か中古かによっても相場は異なり、中古の場合はモノクロ3~4円、カラー20~30円程度とやや割高になる傾向があります。

見積書では「リース料金が安い」と思っても、カウンター料金が高ければ結果的に総額が膨らむことがあります。特に月間印刷枚数が多い企業ほど差額が大きくなるため、「月額リース料+カウンター料金」の合計で比較することが必須です。

保守契約の範囲

コピー機を長期間安定して使うためには、保守契約の内容をしっかり確認することが欠かせません。契約方式によって料金の仕組みやサービス範囲が大きく異なるため、見積もり比較の際は「どの方式で契約されているのか」を確認する必要があります。代表的な方式は以下の4つです。

  • カウンター保守
    もっとも一般的な方式で、モノクロ・カラーそれぞれに単価が設定され、実際に印刷した枚数に応じて料金が決まります。料金にはトナー代、定期メンテナンス、修理や部品交換、技術者の出張費まで含まれます。
  • 定額保守
    毎月の料金が一定になる方式です。契約範囲内であれば印刷枚数が多少増えても追加料金がかからず、予算管理がしやすいのが特徴です。
  • スポット保守
    定期契約を結ばず、故障や不具合が発生したときだけ対応を依頼する方式です。普段ほとんど印刷しない企業には向いていますが、突発的な修理費用が高額になるリスクがあります。
  • キット保守
    特定の消耗品(主にトナー)を正規ルートで購入することで、修理や点検といった保守サービスを受けられる契約方式です。カウンター料金が不要で、トナー代に保守費用が含まれているのが特徴です。

このように、同じ「保守付き」と書かれていても、契約方式ごとにサービス範囲や料金の仕組みは大きく異なります。見積もりを比較する際は、「どの方式か」「どこまで費用に含まれているか」を必ず確認し、自社の利用状況にもっとも適したものを選ぶことが重要です。

オプション機能の有無

業務用コピー機には、多彩なオプション機能があります。例えば、ADF(自動原稿送り装置)、フィニッシャー(自動ホチキス留め・ソート機能)、クラウド連携、セキュリティ強化機能などです。これらは業務効率を大きく改善しますが、当然ながら費用も上乗せされます。

見積もり段階では「標準搭載かオプションか」が分かりにくい場合が多く、後から「想定より高額になった」というケースも少なくありません。自社に本当に必要な機能を事前に整理し、「オプション費用を含めた総額」で比較することが重要です。

業務用コピー機の見積もり比較では、「カウンター料金」「保守契約の範囲」「オプションの有無」を必ず確認することが成功の鍵です。コピー機は長期的に利用する設備だからこそ、短期的な安さに惑わされず、トータルでのコストと利便性を考慮することが、コスト最適化と業務効率化の両立につながるでしょう。

まとめ

業務用コピー機の導入コストは、本体価格だけでは判断できません。新品・中古・レンタル・リースといった導入方法ごとに相場や特徴があり、さらに印刷速度や機能の違い、保守契約やカウンター料金といったランニングコストまで含めて検討することが不可欠です。

本記事で整理した観点を参考に、総合的な視点で見積もり比較を行い、自社に最適な業務用コピー機を選定しましょう。