中古複合機を導入する際に、忘れてはならないのが「保守契約」です。本体価格が安くても、保守契約の内容を誤ると、突然の故障や部品供給終了によって業務が止まってしまうリスクがあります。特に中古機の場合は、新品よりも消耗や故障の可能性が高まるため、契約内容を事前に理解しておくことが欠かせません。
本記事では、中古複合機の保守契約の種類や料金相場、導入前に確認したいチェックポイントを整理します。併せて、契約時に気を付けたいリスクや保証の範囲、導入に向くケースと避けたいケースにも触れ、安心して選ぶための参考となる情報をまとめました。
なお、参考例としてコピー機屋さんの中古複合機ラインアップも紹介します。中古機は在庫状況により販売が終了している場合がありますので、その点をあらかじめご理解ください。
目次
中古複合機でも保守契約は可能?基本の仕組み
中古複合機でも保守契約を結ぶことは可能です。ただし、新品と比べると契約条件や提供範囲が異なる場合があるため、導入前に仕組みを理解しておく必要があります。ここでは代表的な契約方式を整理します。
カウンター保守
もっとも一般的な方式で、モノクロ・カラーそれぞれに単価を設定し、実際の印刷枚数に応じて料金が決まります。例えば「モノクロ2円/枚、カラー15円/枚」といった形です。
トナーの無償提供、修理や部品交換、技術者の出張費がすべて契約範囲に含まれる点が特徴で、安定した運用を重視する企業に選ばれることが多い方式です。
定額保守
毎月の料金が固定化される契約方式です。上限枚数が設定されていることが多く、その範囲内であれば印刷量が増えても追加料金は発生しません。印刷量が安定している企業に適しており、会計処理がシンプルになるメリットがあります。
スポット保守
定期契約を結ばず、故障や不具合が発生したときだけ料金を支払う方式です。出張費・作業費・部品代をその都度負担するため、普段ほとんど使わない企業には有効ですが、突発的な高額請求のリスクがあります。
キット保守
特定の消耗品(例:トナー)を正規ルートで購入することで、保守サービスを受けられる契約です。トナー代に保守料が含まれる形となり、追加のカウンター料金なしでサポートを受けられるのが特徴です。
保守なし
中古機を安く購入し、故障時は都度修理業者に依頼する方式です。初期費用は抑えられますが、業務停止リスクが非常に高いため、事務所用途ではほとんど推奨されません。
このように中古機でも複数の保守方式がありますが、実務上もっとも多く利用されるのはカウンター保守です。導入前には、自社の印刷量や運用スタイルを踏まえ、どの方式が適しているかを検討することが重要です。
コピー機屋さんでは、中古複合機を販売する際も「カウンター保守」を基本としており、保守なしでの販売は行っていません。そのため、中古機であっても修理対応やトナー供給をまとめて依頼でき、安心して導入できます。
中古複合機の保守契約の種類と料金相場
中古複合機を安心して使うためには、どのような保守契約を結ぶかが重要です。契約方式ごとに料金やサービス範囲が異なるため、事前に理解しておくと予算や運用計画を立てやすくなります。ここでは代表的な4つの契約方式における「中古機ならではの料金相場」を整理します。
中古複合機のカウンター保守の料金相場
もっとも一般的な契約方式で、モノクロ・カラーそれぞれに単価を設定し、印刷枚数に応じて料金が発生します。
- 中古機の相場:モノクロ2~4円/枚、カラー18~25円/枚
- 月額基本料:2,000~4,000円
カウンター料金には、トナー供給・定期メンテナンス・修理・部品交換・出張費が含まれるのが一般的です。新品と比べると、中古は故障リスクが高いため、保守料金が2倍前後に設定されることもあります。
中古複合機の定額保守の料金相場
印刷枚数に関係なく、毎月の料金が固定される契約方式です。一定範囲の修理や消耗品が含まれるケースもあり、コストを平準化できるのがメリットです。
- 小型中古機の目安:月額1万~2万円程度
ただし、契約には「上限枚数」が設けられていることが多く、上限を超えると超過料金が発生します。印刷量が安定している企業に向いています。
中古複合機のスポット保守の料金相場
契約料は不要で、故障や不具合が発生したときにだけ料金を支払う方式です。
- 修理1回あたり:3万~5万円程度
- トナーやドラムなどの消耗品:すべて実費
ドラム部品などが故障すると10万円近くかかってしまう場合もあります。そのため、普段はランニングコストがかからない一方、突発的な出費が大きくなるリスクがあります。利用頻度の少ないオフィスや、バックアップ機としての利用に適しています。
中古複合機のキット保守の料金相場
トナーなど特定の消耗品を正規ルートで購入することで、修理や点検を受けられる契約方式です。
- 例:トナー1本(約5,000枚分)+保守料込みで約7万円
カウンター料金を支払わずにサポートを受けられるのが特徴で、月間印刷枚数が少ない企業に向いています。
このように保守契約の方式は複数ありますが、中古複合機ではカウンター保守が主流です。特に業務で安定して使う場合は、修理やトナー供給を含む包括型の契約を選ぶほうが安心です。
本体価格が安くても保守料金が割高になるケースが多いため、「導入コスト+保守費用」で総合的に比較することが重要です。
導入前に確認すべき中古複合機の状態チェックポイント

中古複合機は、新品と比べて本体価格を抑えられるメリットがある一方、「状態の良し悪し」が運用コストや安定性を大きく左右します。導入前に必ずチェックしておきたいポイントを整理しました。
カウンター枚数
複合機の使用状況を示すのが「カウンター枚数」です。これは車の走行距離に例えられるもので、印刷された総枚数を意味します。
- 目安:10万枚以下なら比較的安心
- 20万枚を超えると主要部品の寿命に近づき、故障リスクが高まります。
購入前に必ず確認し、販売業者から数値を開示してもらうことが重要です。
消耗品の交換履歴
ドラム、定着器、トナーなどの主要部品は定期的に交換が必要です。過去の交換履歴が明記されていない場合、導入後に突然コストが発生する可能性があります。ドラムや定着器は1回の交換に数万円以上かかることもあるため、直近で交換済みかどうかを確認すると安心です。
外装の状態
見た目は性能に直接影響しないように思えますが、破損や大きな汚れはこれまでの扱い方の現れといえます。清掃や整備が丁寧にされているかをチェックすることで、販売業者の信頼度も見極められます。
部品供給期限
複合機はメーカーの部品供給が販売終了後5年または製造終了後7年で打ち切られるのが一般的です。この期限を過ぎると、保守契約を結んでいても修理できないケースが出てきます。導入予定の機種が部品供給期間内かどうかは必ず確認しましょう。
これらの確認を徹底することで、購入後のトラブルをある程度防ぐことができます。ただし、どれだけ事前に状態をチェックしても、中古複合機は新品と比べて修理対応の頻度が高くなる傾向があります。
前の使用状況や部品の消耗具合によっては、思わぬ不具合が早期に発生するケースもあるため、導入後も定期的な点検や保守契約で備えることが重要です。
中古複合機の保守契約で注意すべきリスク
中古複合機は導入コストを抑えられる反面、保守契約を結んでいても注意すべきリスクがあります。契約前に理解しておくことで、無駄なトラブルや予想外の出費を防げます。
新品より保守料金が割高
中古複合機は新品よりも故障リスクが高いため、保守料金も高めに設定されるのが一般的です。
- 中古機:モノクロ2~4円/枚、カラー18~25円/枚
- 新品機:モノクロ2円/枚、カラー15円/枚
おおよそ2倍~2.5倍程度の差があり、長期的には新品より総コストが上がるケースも少なくありません。本体価格の安さに目を奪われると、結果的に保守費用が負担となる可能性があります。
故障頻度が高まりやすい
中古機は、以前の利用環境やメンテナンス状況によって部品の消耗具合に差が出ます。そのため、新品よりも故障や不具合が発生しやすく、修理対応の回数が増える傾向があります。
- 定着器やドラムなどの主要部品が早期に寿命を迎える
- 思わぬ内部ダメージが残っていて突発的に故障する
こうしたトラブルにより、保守契約を結んでいても業務の停止リスクがゼロになるわけではありません。
部品供給終了による修理不可
複合機はメーカーのサポート期限が決まっており、販売終了後5年または製造終了後7年で部品供給が終わるのが一般的です。供給期間を過ぎたモデルは、たとえ保守契約を結んでいても「部品がなく修理できない」という事態が起こり得ます。結果的に、急な買い替えを迫られるケースもあります。
このように、中古複合機の保守契約には「割高な料金」「修理対応の増加」「部品供給終了」というリスクが存在します。導入を検討する際には、これらのリスクを踏まえた上で、自社にとって本当に適した選択かどうかを判断することが大切です。
中古複合機の保証と保守条件を見極めるポイント
中古複合機を安心して導入するには、本体の状態だけでなく「保証」と「保守契約の条件」をしっかり確認することが欠かせません。契約内容をあいまいにしたまま導入すると、想定外の修理費や業務停止につながるリスクがあります。ここでは特に注意したい3つのポイントを整理します。
初期保証の有無と期間
中古機には、新品のような長期保証がつかない場合が多く、販売業者独自の初期保証が設けられています。一般的には1~3カ月程度が多く、長くても1年以内に設定されていることがほとんどです。
- 「納品後すぐの初期不良だけ対応」なのか
- 「一定期間の修理や交換に対応」なのか
保証範囲を明確に確認しておくことが重要です。短期間で保証が切れる場合は、保守契約を併用して備える必要があります。
保守範囲の確認
保守契約に含まれる内容は販売業者によって差があります。特に確認すべきは以下の点です。
- トナー代が含まれるかどうか
- ドラムや定着器などの消耗品が契約範囲内か
- 出張費や部品交換費が別料金にならないか
一見安く見える保守契約でも、消耗品が対象外だと結果的に大きな負担になります。契約書や見積もりの段階で細かく確認しておきましょう。
複数業者からの見積もり比較
中古複合機は同じ機種でも業者によって保証や保守条件が異なります。必ず複数の業者から見積もりを取り、以下の観点で比較することをおすすめします。
- 初期保証の期間・内容
- 保守範囲(トナーや消耗品を含むかどうか)
- カウンター料金や基本料の有無
- トータルカウント枚数の比較
- 修理対応のスピード
特に中小企業では、導入後に業務が止まると損失が大きいため、単純な価格だけでなく「安心して任せられる業者かどうか」も重要な判断基準となります。
このように、中古複合機の導入では「初期保証の内容」「保守契約の範囲」「複数業者での比較」の3点を押さえることが大切です。導入前に条件を明確に確認しておけば、不意のトラブルにも備えやすくなり、安心して運用をスタートできます。
中古複合機が向いているケース・避けるべきケース
中古複合機は、初期費用を抑えて導入できる点が魅力です。しかし、すべての企業に適しているわけではありません。業務環境や利用目的によっては新品のほうが安心できるケースもあります。ここでは導入を検討する際の判断材料として、「向いている場合」と「避けるべき場合」を整理します。
中古複合機が向いているケース
- 初期費用をできるだけ抑えたい
新品に比べて導入コストを大幅に削減できます。特に立ち上げ期の事務所や短期間の利用に適しています。 - 小規模オフィスや利用頻度が少ない環境
月間印刷枚数が少なく、大量の出力を必要としない場合には十分に対応できます。 - 短期利用やサブ機としての活用
期間限定のプロジェクトや、メイン機が故障した際のバックアップ用途としても選ばれることがあります。
中古複合機を避けるべきケース
- 大量印刷や長期利用を前提とする場合
中古は新品に比べて故障リスクが高く、保守料金も割高になるため、長期運用では結果的にコスト増になる可能性があります。 - 最新機能やセキュリティを重視する場合
中古は多くが2世代以上前のモデルで、最新のセキュリティ機能やクラウド連携機能を備えていないことがほとんどです。個人情報や社外とのデータのやり取りが多い企業には不向きです。 - リースを利用したい場合
中古複合機は原則リース契約ができません。購入またはレンタルでの導入が基本となるため、「リースでコストを平準化したい」と考える企業には適しません。 - 保守契約が結べない中古を選んでしまった場合
オークションや格安サイト経由の複合機は、保守を断られることが多く、修理対応を受けられないリスクがあります。専門業者を通じて購入し、保守契約が確実に結べるかを事前に確認することが不可欠です。 - メーカーや機種の選択肢を重視する場合
中古市場では、流通量の多いシャープ・京セラ・キヤノンに偏っており、ゼロックスやリコーなどは出回りが少ない傾向があります。選択肢が限られるため、特定メーカーを指定して導入したい場合には不向きです。
このように、中古複合機は「低コストで短期的に使いたい企業」には向いていますが、「長期運用・大量印刷・最新機能必須」の企業にはリスクが大きくなります。価格だけで判断するのではなく、利用環境や保守契約の有無まで含めて総合的に検討することが重要です。
まとめ
中古複合機は新品より導入費用を抑えられる一方で、保守料金の割高さや故障頻度の増加、部品供給終了による修理不可といったリスクがあります。導入前にはカウンター枚数や消耗品の交換履歴、部品供給期限を確認し、初期保証や保守範囲を明確にした上で契約することが大切です。 価格だけでなく保守条件や利用環境まで含めて総合的に判断し、信頼できる業者から購入することが安心につながります。導入を検討する際は、必ず複数業者から見積もりを取り、条件を比較して最適な一台を選びましょう。











