オフィスに欠かせないコピー機や複合機。「そろそろ導入しなければ」と思って調べ始めると、購入・リース・レンタルといった選択肢が出てきて、どれが正解なのか分からなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
特にリースは、「毎月いくらかかるの?」「購入より本当にお得なの?」「契約の仕組みが分かりづらい」など、疑問や不安がつきものです。
そこで本記事では、複合機リースの料金相場や契約の流れ、メリット・デメリット、注意点を分かりやすく解説します。読み終える頃には、「自社にとってリースがベストなのか、それとも別の方法がよいのか」を判断できるようになるはずです。
目次
複合機リースの料金相場はいくら?
オフィスで複合機を導入する際に、もっとも気になるのが「毎月いくらかかるのか」というコスト面です。購入すれば数十万~百万円規模の出費になることもあり、初期投資を抑えられるリースは多くの企業に選ばれています。
しかし、リース料金は一律ではなく、印刷速度や利用枚数、契約内容によって大きく変動します。本章では、複合機リースの平均的な料金相場や、金額を左右する要素について具体的に解説していきます。
複合機リースの平均相場は1万~2万円
複合機のリース料金は、月額1万~2万円程度がもっとも一般的な相場です。新品を購入すると100万円以上かかる機種も少なくありませんが、リースを利用することで初期費用を抑えつつ導入できるため、多くの企業が採用しています。
ただし、印刷速度や機能、契約期間などによって料金は変動します。小規模オフィス向けのモデルでは月額1万円から契約できるケースがある一方で、大規模オフィスや高速機を導入する場合には3万円を超えることもあります。
複合機リースの料金を左右する要素
複合機リースの料金は「平均1万~2万円」といわれますが、実際の月額費用には幅があります。その理由は、機種や契約内容に応じて料金を左右する要素が複数あるためです。主なポイントを整理すると以下のとおりです。
① 印刷速度(処理能力)
複合機の性能を示すもっとも大きな指標が「印刷速度」です。1分間に印刷できる枚数が多い機種ほど本体価格が高く、リース料金も高額になります。例えば月間3,000枚以下なら20~25枚/分で十分ですが、1万枚を超える業務では40枚/分以上が求められ、その分コストも上がります。
② 月間印刷枚数
実際にどれくらい印刷するかによっても料金は変わります。小規模オフィスで月500~1,000枚程度なら1万円程度に収まるケースもありますが、5,000枚を超えるような業務では2万~3万円を超えることもあります。
③ 機能・オプション
基本機能(コピー・プリンタ・スキャナ・FAX)だけであれば安く導入できますが、フィニッシャー(自動製本)、OCR(文字認識)、ICカード認証、クラウド連携などを追加すると本体価格が上がり、リース料金も増加します。業務に本当に必要な機能を選定することが重要です。
④ 機種のサイズや企業規模
卓上タイプ(A4対応)は比較的安価ですが、自立型でA3対応・高速印刷が可能なモデルは、その分コストが高くなります。また、企業規模が大きいほど大量印刷に対応する機種が必要となり、料金も上がる傾向があります。
⑤ カラーとモノクロの比率
リース料金に含まれる「カウンター料金(保守費用込みの印刷単価)」は、モノクロが2円前後、カラーは15円前後が目安です。カラー印刷の比率が高い企業ほど総コストは増えるため、利用用途に応じた選択が必要です。
⑥ 保守契約の種類
リース契約とセットになる保守方式も料金に影響します。もっとも一般的な「カウンター保守」は印刷枚数に応じて課金され、これに修理やメンテナンス費用も含まれます。
⑦ 販売会社の仕入れ力
同じ複合機でも、販売会社によって価格が数万円~数十万円単位で変わることがあります。流通ルートがシンプルで仕入れ力のある代理店を選ぶことで、結果的にリース料金を抑えられるケースも少なくありません。
このように、リース料金は「機械の性能」「利用環境」「契約条件」によって大きく変動します。平均相場だけにとらわれず、自社の利用状況に合った条件を明確にした上で見積もり比較を行うことが、最適なコストで導入するためのポイントです。
複合機リース契約の仕組み
複合機のリースを検討する際に欠かせないのが、契約の仕組みを正しく理解することです。リースは購入やレンタルと異なり、所有権の所在や契約年数、導入から返却までの流れに独自の特徴があります。これらを把握していないと、導入後に思わぬ制約や追加費用に直面することもあります。
本章では、リース契約の基本的な特徴を整理し、申込から設置、さらに契約満了後の対応までのプロセスを具体的に解説していきます。
リース契約とは?購入・レンタルとの違い
リースとは、リース会社がユーザーの代わりに複合機を購入し、一定期間貸し出す契約形態です。所有権はリース会社にあり、ユーザーは毎月リース料を支払いながら機器を利用できます。
類似する仕組みと比較すると以下の違いがあります。
- 購入:複合機を自社の資産として所有する方法。自由に使えるが初期費用が高く、減価償却の手間も発生する。
- レンタル:レンタル会社の在庫から短期間借りる方法。解約や機種変更が容易だが、ラインナップは限られる。
- リース:長期利用を前提とし、契約途中での解約は不可。ただし初期費用を抑えつつ最新機種を導入できるのが特徴。
このように、リースは所有せずに長期間利用できる仕組みであり、購入のような高額投資を避けつつ、レンタルと比べて契約期間中に同じ機種を安心して使い続けられる方法といえます。
複合機リースの契約の流れ(申込~設置~更新まで)
複合機のリース契約は、導入を検討してから設置、利用開始、そして契約満了後の対応まで、いくつかのステップを踏んで進んでいきます。ここでは一般的な流れを、順を追って解説します。
ステップ①|検討・見積依頼
まずは、契約年数・必要な機能・オフィス規模・月間印刷枚数など、自社に必要な条件を整理します。
「購入と比較してどちらが有利か」「何年リースするか」といったコストシミュレーションも欠かせません。
条件を決めたら販売店やリース会社に見積依頼を行います。料金表示が「〇〇円~」のようにあいまいな場合は、長期リースや最安機種前提のケースも多いため注意が必要です。複数社から相見積もりを取ることで、よりよい条件を引き出しやすくなります。
ステップ②|申込・書類準備
正式にリースを申し込む段階では、以下のような書類が求められることがあります。
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書など)
- 登記簿謄本
- 会社経歴書
- 代表者印・印鑑証明
これらを事前に準備しておくことで、審査をスムーズに進められます。
ステップ③|審査
リース会社による与信審査が行われます。契約が3~6年と長期にわたり、機器の資産価値も大きいため、企業の経営状態や信用力が重視されます。
審査は通常1~2日程度で結果が出ますが、否決された場合はほかのリース会社に再申請できることもあります。
ステップ④|契約締結
審査に通過すると、以下の契約を締結します。
- 販売店との契約書
- リース会社との契約書
- 保守契約書(メーカーや代理店とのメンテナンス契約)
既存の複合機から切り替える場合には、現在のリース会社への委任状が追加で必要になる場合もあります。
ステップ⑤|搬入・設置
契約締結後、メーカーや販売店から複合機が納入されます。設置・ネットワーク設定・動作確認・操作説明までを行い、通常は1~2時間程度で完了します。
このとき、設置当日に接続されているパソコンは設定対象ですが、後日追加するパソコンは有償対応になる場合があるため事前に確認が必要です。
ステップ⑥|検収・利用開始
設置完了後、リース会社から契約内容の最終確認(検収連絡)が行われます。この確認が済むと契約が正式に開始され、月額リース料の支払いが始まります。
契約開始日は調整できる場合もあり、月初に合わせれば無駄なコストを避けられるケースもあります。
ステップ⑦|利用期間中の運用
契約期間中は、毎月のリース料を支払いながら複合機を利用します。
保守契約によって、故障対応・部品交換・定期点検などがカバーされるのが一般的です。
設置場所を変更する場合は、必ずリース会社や保守会社へ連絡を入れる必要があります。
ステップ⑧|契約満了とその後の対応
契約期間が満了すると、複合機はリース会社に返却するのが基本です。
その後の対応としては、新しい機種で再契約する、または再リースを選ぶといった選択肢があります。
なお、再リースについては契約年数との関係や注意点があるため、後ほど詳しく解説します。
複合機リースのメリット・デメリット

リース契約には「便利だった」という声もあれば、「想定外の制約に悩まされた」というケースも少なくありません。導入時には月額の安さや最新機種を使える点に注目しがちですが、実際には長期契約ならではの制約や、総コストの問題が後から見えてくることもあります。
本章では、複合機リースのメリットとデメリットを整理し、契約前に理解しておくべきポイントを分かりやすく解説します。
複合機をリースするメリット
初期費用が不要で最新機種を導入できる
複合機を購入する場合、数十万~数百万円のまとまった資金が必要です。リース契約なら、導入時に大きな支払いが発生せず、最新機種を月々の定額で利用できます。初期投資を抑えて最新の性能を活用できる点は大きな魅力です。
毎月の支払いでキャッシュフローが安定する
リース料は毎月一定額です。支払い方法に合わせて資金繰りを計画でき、経営の安定性が高まります。突発的な出費がなく、資金をほかの投資や運営資金に充てやすいのもメリットです。
全額を経費処理できる(節税効果)
リース料はそのまま経費計上が可能です。減価償却計算をする必要がなく、毎月の支払いがそのまま損金算入されます。節税効果を期待できるため、特に中小企業にとって大きなメリットです。
減価償却や固定資産税の処理が不要
複合機の所有権はリース会社にあるため、資産計上・減価償却・固定資産税の支払いは不要です。事務作業の負担を軽減できます。
動産保険付きでトラブルにも安心
リース契約には通常、火災や盗難などをカバーする動産保険が付帯します。万が一の事故があっても補償を受けられるため、安心して利用できます。
複合機をリースするデメリット
購入より支払総額が高くなる
リース料には手数料や利息が含まれるため、長期的に見ると購入より支払総額が高くなるケースが多いです。また、返却時の送料や再リース料金など、追加費用が発生する場合もあります。
契約途中で解約できない
複合機リースは、原則中途解約が不可です。どうしても解約する場合は残債の一括支払い、または違約金が発生します。導入前に契約期間を十分に検討する必要があります。
所有権がないため自由度が低い
リース契約では所有権はリース会社にあります。そのため、売却・譲渡はできず、移設や処分もリース会社への連絡が必要です。自由度が低い点はデメリットといえます。
与信審査が必要
リース契約には、信用調査(与信審査)が伴います。新規事業や業績が安定していない企業では契約できない場合があります。
複合機リースには、初期費用を抑えつつ最新機種を導入できるメリットがある一方、途中解約不可や総額が割高になるといったデメリットも存在します。契約前に長所と短所をしっかり理解し、自社の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
複合機リースの契約年数や再リースの注意点
複合機をリースで導入する際には、契約年数の設定や契約満了後の対応が、コストと運用効率を大きく左右します。短期契約なら最新機種を早いサイクルで導入できますが月額は高めになり、長期契約なら月額は抑えられるものの故障リスクが増えるといった特徴があります。
さらに、契約終了後には「再リース」という選択肢もあり、大幅なコスト削減が可能な一方で、古い機種を使い続けるリスクも伴います。
本章では、契約年数を決める際の考え方と、再リースを利用する際に押さえておくべき注意点を解説します。
契約期間の目安(一般的なケースと当社の場合)
複合機リースの契約年数は、一般的に3~6年の範囲で選ばれることが多く、特に5年契約が標準的です。これは、複合機の法定耐用年数が5年とされているためであり、多くの企業が耐用年数に合わせた契約を選んでいます。メーカーによっては5年を超えると保守料金が値上げされる場合もあるため、5年で区切るケースが多いのも特徴です。
当社では6年契約を中心にご提案しています。実際、コストと耐久性のバランスを踏まえると、6年がもっとも効率的な選択肢になるケースが大半です。
契約期間を決める際には、月間の印刷枚数や利用頻度も重要な判断材料です。
- 印刷量が少なく耐久年数を超えない見込みなら、5~6年契約で問題なく利用可能
- 印刷量が多く耐久枚数(一般的に約300万枚)に達する見込みなら、3~4年契約が安心
契約年数によってリース料率も変動します。短期契約は最新機種を早いサイクルで導入できる代わりに月額費用が高く、長期契約は月額を抑えられる一方で、故障リスクが増える点に注意が必要です。
再リースのメリット・デメリット
リース期間満了後には、新しい機種に入れ替える・返却する・買い取るといった選択肢がありますが、もう一つの選択肢として再リースがあります。
再リースとは、現在利用している複合機を継続使用する契約で、多くのリース会社では、これまでの約1/10程度のリース料金で1年間利用可能という大きなコストメリットがあります。
再リースのメリット
- コスト削減:通常リースの約1/10程度まで料金が下がり、ランニングコストを大幅に抑えられる
- 入れ替え作業不要:搬入・設定などの手間がなく、契約更新だけで継続利用できる
- 使い慣れた機器を継続利用:従業員が新しい操作に慣れる必要がなく、業務効率が落ちにくい
- 短期契約で柔軟に対応:1年単位で契約できるため、次の入れ替えまでの「つなぎ」として利用可能
再リースのデメリット
- 故障リスクの増加:リース満了時点ですでに5~6年使用しているため、紙詰まりや印刷不良などの不具合が発生しやすくなる
- 部品供給の問題:メーカーの部品保有期間(販売終了から5~7年)が過ぎると、修理が不可能になる場合がある
- 保守契約やカウンター料金は据え置き:リース料は下がっても、保守費用やカウンター料金は安くならないことが多い
- 長期利用での効率低下:古い機種を使い続けることで、新機種に比べて印刷速度や省エネ性能で劣る場合がある
契約年数は、自社の利用頻度や印刷枚数、将来の運用計画を踏まえて選ぶことが大切です。
当社ではコストと安定性のバランスから6年契約をご提案することが多く、契約終了後には再リースという低コストな選択肢もご用意しています。ただし、再リースには故障や部品供給のリスクも伴うため、現状の機器状態や業務ニーズを考慮した上で最適な選択をしていきましょう。
まとめ
複合機のリースは、初期費用を抑えつつ最新機種を導入できる有力な方法です。購入よりも総額は高くなる場合がありますが、月額一定の支払いでキャッシュフローを安定させることができ、経費処理による節税効果や動産保険の適用といった大きなメリットがあります。
一方で、所有権がなく自由度が低い、途中解約ができない、経年劣化によるリスクがあるといった注意点も理解する必要があります。リースの料金は印刷枚数や機能によって変動するため、複数社から見積もりを取り、自社の利用状況に合わせて最適な契約期間を選ぶことが成功の鍵です。
契約満了後は入れ替えや再リースといった選択肢もあるため、将来の運用計画も視野に入れながら判断しましょう。